PDFビューアとして使うAmazon Kindle DXレビュー
元同僚の友人にiRexのiLiadを見せてもらってから、かなり買う気まんまんだった電子書籍リーダですが、やっぱりちょっと高いのと、もう少しいいのが出る感が拭えなかったので、通販のカートに入れたまま決済できないでいました。電子書籍リーダの魅力は彼の記事を読んでください。
WEB+DB Press で連載をさせてもらうことになりました - Backnumbers: Steps to Phantasien
そんなこんなしているうちに、AmazonからPDFにネイティブ対応したKindle DXが発表されたので、アメリカ支社の友人にお願いして転送してもらうことにしました。ありがとう!>dgz
ちなみに、現状Kindleはアメリカの住所以外には発送してくれない。が、送付先がアメリカである限りは、日本のクレジットカード(MasterCard付き)でも普通に決済できました。Kindle用書籍は購入できないらしい。試しに、"JavaScript: The Good Parts"のKindle版を買おうとしたところ、"Buy now with 1-Click"ボタンしかなく(Kindleに直接転送するのだから当然かな?)、Billing Addressとしてアメリカの住所しか入力できませんでした。次のステップでは当然その住所にバインドされたクレジットカードが必要ということになります。
で、そのKindle DXが本日届きましたので、簡単にレポートします。Kindle書籍が買えない以上、ほぼPDFビューアとして利用することになります。
良い点
- やっぱり電子書籍リーダはいい。iPodが音楽中毒者にとって福音だったように、活字中毒者にとっては電子書籍リーダによって生活が一変しそうな予感がします。
- 電池を気にしなくてよい。ページ書き換えの時のみ電気を消費するタイプなので、そのまま放置しても電池がなくなりません。個人的にはこれがiLiadで一番気になっていた部分です。
- 画面サイズ大きい。2カラムの論文も余裕で読めます。
- 質感はなかなかよいです。背面ブラウンのヘアライン加工のアルミでiPodに近い雰囲気です。ただし、本体色の白はそのうち手あかで汚れてきそうな気がする。
- 薄い。鞄の中の場所をとりません。剛性もそれなりにありそうです。
- PDFのレンダリングは問題はありません。まだ1日しか使っていませんが、特に不具合はありません。Adobe純正のコードを使っているらしく、互換性の点では問題なしかと。
- 日本語のPDFもOK。ただし、日本語フォントは入っていないので、フォント埋め込みする必要があります。Macの場合はPDFを開いて、(Preview.appで)上書き保存すれば勝ってにフォントが埋め込まれます。
- 本をスキャンしたPDFもきれいに表示。美しいです。ただし、液晶サイズより小さい本に限りです。後述。
- 最後に読んだページを記憶してくれる。各PDFごとに最後に開いていたページを記憶してくれます。
- 速度はまあまあ。PDFファイルのオープンは5〜10秒ほど。ページの切り替えは1秒ほど。ただ、スキャンしたPDF(つまりすべて画像)の場合、まれに10秒ほどかかるときがあります。
- [追加]余白自動削除機能はPDFでも有効です。これはいい。
悪い点
- ページ移動手段がしょぼい。ナビゲートはNEXT PAGE, PREV PAGEとメニュー経由での先頭移動、数値指定移動のみです。しかも、数値指定移動の数字入力の際、キーボードに専用数字キーがなく、最上段のQWERTYなどに123456などがマップされており、ALTキーを押しながらの入力で面倒です。せめて、スライダーUIが出て、5-wayキーで飛ぶページの増減が出来ればマシだと思います。膨大なページの仕様書などで「真ん中らへん」とか「終盤のあそこ」とかに飛ぶのが面倒です。あくまで頭から順に読んでいくのみのUIのようです。
- スキャン画像の縮小表示のときに字がかすれる。液晶サイズより大きなページの本を表示する際には縮小して表示することになりますが、字が小さくなる上に細くなりかなりかすれます。字を濃いめにレンダリングするか、縮小の際に輪郭検出をするかということになりますが、ソフトウエアで解決できる問題のような気がします。せめてグレイスケールとデバイスの16階調とのマッピングを設定で調整できればかなりマシになるのですが。雑誌など字が小さい媒体は厳しいです。
- landscapeモードが意外と使えない。本体を横にすると自動的に表示向きがかわり幅でフィットするようになるので、一般的に表示が大きくなり、スキャンした字も読みやすくなります。ただこのときのナビゲーションがNEXT/PREVでの画面サイズ移動だけなので、縦書きテキストだとカラムの途中で改ページされてしまい、実質読めない状況が発生します。せめて、NEXT/PREVが半ページ移動だったり、5-wayでスクロールできれば、使える機能になると思うのですが。
- PDFでは辞書が使えない。Kindle用の本などではカーソルを単語の上に持っていっただけで、高速に意味が表示されて便利なのですが、PDFでは利用できません。PDFになった時点で単語の概念はなくなっているので難しいというのはわかるのですが、なんとかならないでしょうか。
- フォルダがない。本はすべて単一のフォルダに格納する必要があります。数千冊どころか、数百冊いれただけで、本を探すのに苦労します。
- スクリーンセーバーがうざい。時間が経つと勝手に文豪の似顔絵が表示されますが、濃い顔の面々ばかりでちょっと勘弁して欲しいです。設定でオフにできるようにして欲しいところです。
それ以外の注意点としては、日本ではRegistrationできません。発送時のメールでは本体にAmazonアカウントとバインド済みだよーと書いてあったのですが、実際には最初の起動時に電話回線経由でのチェックが入るらしく、いまだ登録できていません。いつかアメリカ出張があったら試してみようと思います。